大判例

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東京高等裁判所 昭和37年(ネ)2958号 判決

よつて、控訴人ら提出の抗弁について判断する。先ず成立に争のない甲第一号証によれば、被控訴人と控訴人ら間に締結された被控訴人主張の手形取引契約中には、債務者が被控訴人に対して負担する債務のうち何れの一つでも履行を怠つたときは、債務者の被控訴人に対する一切の債務は当然期限の利益を失い、債務者及び連帯保証人は、被控訴人に対して有する預金債権その他の債権について、その支払期日の到来と否とにかかわらず手形の呈示又は交付及び何ら通知を要しないで自動的に相殺の効力が生ずるものとする旨(手形取引契約書第一一条の一)の特約があることが認められる。しかし乍ら、本件における如く控訴会社より被控訴人に裏書譲渡された訴外人振出にかかる約束手形が満期に支払拒絶された場合は、控訴会社の被控訴人に対する債務不履行とはいえず、この場合には同契約書(甲第一号証)第七条により被控訴人より通知のあり次第控訴会社が直ちに本件約束手形を買い戻す義務を負担し、右買戻し義務を履行しないときに初めて被控訴人は同契約書第九条により前記第一一条の一に相当するものとみなして取扱うことができることになるものといわねばならない。従つて、たとえ、控訴人ら主張の如く本件(1)の約束手形が満期である昭和三六年二月二五日に支払われなかつたとしても、これがため当然に控訴会社の被控訴人に対する債権と対等額で相殺されたことになる余地はないから、控訴人らの抗弁は、その他の点を判断するまでもなく、理由がない。

(川添 花淵 山田)

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